秋の台所しごと|干し柿づくりの風景
こんにちは。
みなさん、いかがお過ごしでしょうか(^^)/
気がつけば、日差しの角度がすっかり変わって、朝晩は冷え込むようになってきました。
そんなある日の台所。
いつものようにお茶を飲みながらのんびりしていると、
家族がなにやらせっせと作業を始めていました。
秋になると毎年おなじみの“あの風景”。そう、干し柿づくりです。

ツヤツヤの渋柿をむくところから
まずは柿の皮むき。
手際よくピーラーを動かす姿を、横からじっと見つめながらお手伝い。
今年の柿はやや大きめで、表面がなめらかでつやつや。
触ると手に吸いつくような感触があります。

使っているのは**「渋柿」**。そのまま食べると口の中がギュッとしぼむような、強い渋みのある品種です。
でも、干すことで不思議なくらいまろやかに、そして自然な甘さが引き出されるのが渋柿の魅力。

干し柿といえば「市田柿(長野)」や「あんぽ柿(福島)」などの名産がありますが、
家庭で作るものは、形や大きさ、干し方にそれぞれの“家のやり方”が出るのも面白いところです。
熱湯にくぐらせて、準備完了
皮をむき終わった柿は、熱湯にさっとくぐらせます。
これは雑菌の繁殖を防ぎ、表面の渋をやわらげてくれる大事な工程。
紫色のビニール紐にくるくると結ばれて、鍋の中にぷかぷかと浮かぶ柿たち。
なんとも不思議な光景ですが、この瞬間がなんだか好きなんです。
手間を惜しまない、こういう丁寧な台所仕事を見ると、
あらためて「食べるってありがたいことだな」と思わされます。


吊るされた柿の列は、秋の風物詩
さて、下ごしらえが終わったら、いよいよ吊るしていく作業。
今年は玄関横の外壁にずらりと並びました。

ずっと昔から変わらない風景ですが、
並んで揺れるオレンジ色の柿たちは、何度見てもやっぱりかわいらしいです。
少し前まで木の上にいた果実が、今こうして家の壁に吊るされて、
時間をかけてゆっくりと変化していく。
**干し柿は「干す=熟成」**という、発酵にも似た時間の力が働く食べ物。
太陽と風と、夜の冷え込みが、だんだんと果肉をとろりとした甘さへと変えていきます。
ちょっとした豆知識もひとつ
干し柿にまつわる小ネタをひとつ。
実は干し柿には、食物繊維やカリウム、βカロテン、ポリフェノールなどが豊富に含まれているそうです。
中でも「タンニン(渋の成分)」は、干すことで水に溶けない形に変化し、渋みは抜けつつも、抗酸化作用はしっかり残るというから驚きです。
昔の人が“薬のようにして干し柿を食べていた”という話にも、なるほどと頷けます。

あとは、見守るだけ
あとは、毎日天気と相談しながら様子を見守るだけ。
最初の数日は見た目があまり変わりませんが、
一週間ほど経つと皮が少しずつしんなりしてきて、甘い香りがふわりと漂い始めます。
家族は時々、柿を軽くもんだり、向きを変えたりしながら、
均等に乾くよう気を配っているようです。
干し柿が出来上がるのは、だいたい2〜4週間後。
早ければお正月前には、とろりとした甘さの“完成品”が味わえるかもしれません。

おわりに
なんでも簡単に手に入る時代だけれど、
こうして時間をかけて何かを「育てる」ような暮らしの風景は、
やっぱりいいものだなと思ったりもします。
食べるまでに時間がかかる分、ひとくち食べた時の喜びもひとしお。
今年の干し柿は、どんな味に仕上がるのでしょうか。
またその時を楽しみにしながら、
台所の秋の風景をそっと見守っていたいと思います。
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